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感想:『移行化石の発見』

移行化石の発見

進化の途中の段階にある生物の化石「移行化石」の例を挙げながら、生物は枝分かれと絶滅を繰り返しながら進化してきたことを示した科学読み物。

鳥と恐竜のつながりを示す化石の存在や、ヒトの仲間は様々に分岐しながら進化を遂げ、最後に生き残った種が現生人類であることはそれぞれ知識として知っていたが、それらをまとめて示されると、ダーウィンが『種の起源』の中でその存在が確認されていないことに対して苦しい言い訳をしていた移行化石がこんなにたくさん…と感慨深い思いになる。

著者は進化論を信じない人たちにロジカルに進化論の正しさを説明する目的でこの本を書いたらしい。アメリカでは進化論を信じている人は40%しかいないんだとか。

私は漠然と進化論を正しいものとして信じているが、それゆえに人から「進化論は生物学の学説史の中でどういう位置付けなのか?」と訊かれてうまく答えられなかったことがある。そんなときのために、生物が進化してきた証拠となる化石や分子生物学・発生学のデータを体系的に示したこの本を読んでいればもう少しまともな答えが出せたと思う。

また、様々な移行化石が発見されて進化の道筋が埋まっていく様子はまるで上質のミステリーを読んでいるようで、純粋に読み物として面白い。(個々の研究者がどうしたこうした、という話がちょっと長ったらしいが)

特に私がワクワクしたのは恐竜と鳥の話とクジラの話と人類の進化の歴史の話。鳥は早い話が恐竜の生き残りであるという話はいつ聞いてもロマンがある。(そういえばさっき食べた鶏のレバーも、あれは恐竜の肝臓だと考えることができる)クジラがカバに近い動物から進化したという話は内心ちょっと疑っていたが、クジラの特徴を持つ最古の動物の骨格はものの見事に偶蹄目で驚いた。私たちホモ・サピエンスが、多様に分化したヒトの仲間の最後の生き残りだと思うと考えさせられる。

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